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当事務所では、弁護士 田中宏幸が
直接、法律相談・事件処理の対応を行います

大阪府大阪市浪速区難波中3-5-4 難波末沢ビル3階
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2018.09.20更新

Q:「借家権価格」を算定する際、個別的事情が考慮されると思う
    のですが、どのような事情が考慮の対象となるのでしょうか。

A:① 将来における賃料改定の実現可能性とその程度
  ② 賃貸借契約の際に授受された一時金(保証金等)の額と
        返還の際の条件(敷引の有無、額等)
  ③ 将来見込まれる一時金の(追加)額とその返還の際の条件
  ④ 賃貸借契約締結に至った経緯、経過した賃貸借期間及び
        残存期間並びに建物の残存年数
  ⑤ 借家権の取引慣行及び取引利回り
  ⑥ 借家の目的、賃貸借契約の形式、登記の有無、転貸借か
   否かの別及び定期建物賃貸借か否かの別
  が考慮対象になります。これらの諸事情を総合的に考慮する
  ことになります。

   弁護士 田 中 宏 幸

投稿者: 田中宏幸法律事務所

2018.09.10更新

Q:立退料を検討する際、「借家権価格」相当額が考慮されるこ
 とが多いということですが、借家権価格はどのような方法で算
 定されるのでしょうか。

A:借家権価格とは、借地借家法によって保護される借家権に基
 づいて建物を使用収益することにより、賃借人が受ける経済的
 利益のことをいいます。
 「借家権価格」相当額の算出方法は、不動産鑑定士による鑑定
 の基準とされている「不動産鑑定評価基準」によることとされ
 ています。この基準によると、賃貸人の要請によって賃貸借契
 約を合意解約する場合は、「差額賃料還元方式」に「収益価格
 控除方式」を関連づけて借家権価格を求めることとされていま
 す。
  この「差額賃料還元方式」は、建物の経済的価値に対応した
 適正な新規賃料と実際賃借人が支払っている賃料との差額を求
 めて、これを賃貸借契約終了までの期間に対応した賃借人の経
 済的利益を借家権価格相当額と評価する方法です。
 「収益価格控除方式」は、(少し難しいですが、)建物及びそ
 の敷地を自用として処分するときの価格から、賃貸することに
 よる収益力から還元される価格を標準として評価した価格を控
 除することにより算出する方法です。

  弁護士 田 中 宏 幸

 

投稿者: 田中宏幸法律事務所

2018.08.31更新

Q:借家契約の解約の際の「正当事由」の有無を判断するときに、
  「立退料」ということが出てきますが、「立退料」とはどういう
   ものですか。

A:借家契約の解約のときに出てくる「立退料」とは、建物の賃
   貸人が賃借人に対して建物の明渡しを要求する際に、その代償
 として支払う費用です。法律上は借地借家法28条に定める「
 正当事由」を補完する役割を果たすものです。
  もっとも、立退料はあくまで「正当事由」を補完するもので
 すので、「正当事由」が十分認められる状況のときは、立退料は
 必要ありません。逆に、「正当事由」が著しく低い場合は、立退
 料の支払を申し出ても「正当事由」が認められない場合もありま
 す。
  立退料の金額については、必ずしも定められた計算方法があ
 るわけではありません。① 移転のための実費(引越費用、新た
 に借家を借りるための費用等)、② 借家権価格相当額、営業用
 建物の場合は③ 営業補償を加味する場合が多いでしょう。
  但し、近時の裁判例では、上記②の借家権価格相当額という
 ことを使用せずに立退料を算定しているものもあります。

  弁護士 田 中 宏 幸

投稿者: 田中宏幸法律事務所

2018.08.21更新

Q:「建物の現況」が借家契約の解約の際の「正当事由」の有無に
     とって、どのような影響があるのでしょうか。

A:「建物の現況」とは、建物自体の物理的な状況、すなわち、建
     替えの必要性が認められるにまで至っているかという事情をい
     います。
        例えば、建物が老朽化している状況にある場合が典型的です。
     それ以外に、老朽化以外の原因により社会的・経済的な効用を
     失っている場合も含まれます。
        建物が倒壊する危険が迫っている程に朽廃するに至っている
     ときは、賃貸人に建物の自己使用の必要性がなくても直ちに「正
     当事由」が認められます。
        建物が倒壊する危険が迫っていなくても、当事者間に建替え
      建物の再利用に関する合意がある場合は、「正当事由」が認めら
  れるでしょう。但し、賃借人が営業している場合は、建替期間
  中の営業利益の逸失分を補完するための立退料の提供が必要に
  なるでしょう。
   これに対し、上記のような再利用の合意がない場合は、賃貸
  人側の自己使用の必要性が優越することが必要です。あるいは、
  立退料の提供などにより「正当事由」を補完する必要がありま
  す。この場合、賃貸人に建物建替計画を実現する能力が認めら
  れることが要件とされるでしょう。

   弁護士 田 中 宏 幸 

投稿者: 田中宏幸法律事務所

2018.08.10更新

Q:「建物の利用状況」が借家契約の解約の際の「正当事由」の有無の判断に
     とって考慮要素とされているようですが、既に検討されている「建物利用
     の必要性」と異なる考慮要素なのでしょうか。

A:「建物の利用状況」とは、賃借人が借家契約の使用目的に従って建物を使
     用収益しているか、また、賃借人が他に建物を所有していたり、賃借して
     いたりなどしていて、当該建物を事実上利用していないのではないか、な
     どの事情をいうものと解されます。
   このような事情は、既に検討しました当事者双方の「建物利用の必要性」
     の中に含まれていると考えることができます。
     他方、「建物の利用状況」を、当該建物の構造・規模等を考慮した場合に
     当該建物の利用状況が適切かという観点から判断するものであると解する
     と、次回述べます「建物の現況」という考慮要素と大差がなくなってしま
     います。
       このように考えてきますと、「建物の利用状況」という考慮要素は、独立
     の考慮要素としての趣旨が明確でないように思われます。

       弁護士 田 中 宏 幸

 

投稿者: 田中宏幸法律事務所

2018.07.30更新

Q:「建物賃貸借に関する従前の経過」が借家契約の解約の際の「正当事由」
   の有無にとって、どのような影響があるのでしょうか。

A:まず、「建物賃貸借に関する従前の経過」として、「正当事由」に影響が
   あると考えられることとして、次のような点を挙げることができます。
  ① 建物賃貸借が設定されたときの事情、例えば、親族関係や雇用関係等
      の特別な関係が前提になっていたか否か。
    ② このような事情に変更が生じたか否か(例えば、雇用関係がなくなっ
     た等)。
    ③ 賃貸人と賃借人の当事者間に信頼関係を喪失させる事情が生じたか否か。    
    ④ 建物賃貸借関係設定後の期間が長いか短いか。
    ⑤ 賃料等の相当性が失われていないか否か。
    等を挙げることができます。

    特に①の建物賃貸借が設定されたときの事情は、当時の建物利用の必要性
 を反映しているため、その後の事情を加味した上で、「正当事由」の有無の
 判断に大きな影響を与えることが多いといえます。

  弁護士 田 中 宏 幸

 

 

 

投稿者: 田中宏幸法律事務所

2018.07.19更新

Q:借家人側の借家建物利用の必要性としては、どのような事情が「正当事
   由」の有無に影響するのでしょうか。

A:まず、借家人が一人暮らしの高齢者で、長年借家に居住していて、親族
   は他におらず、近隣の人から何かと世話をしてもらって生活していて、近
   隣に同様の借家がないような場合には、借家人の「居住の必要性」がかな
   り強いケースといっていいでしょう。
  但し、借家人が近隣にマンションを所有している場合は、「居住の必要
    性」の強さは低くなるでしょう。また、借家人は、賃貸ビルの1階で飲
    食店を営んでおり、近隣の居住者が主な顧客であり、近隣に飲食店を営
    める場所がなく、飲食店での収入を唯一の生活の糧にしていて、飲食店
    一筋で長年行っており、転職の可能性がないような場合も「営業の必要
    性」がかなり強いケースといっていいでしょう。
      これらのケースは、「借家人の借家を使用する必要性」が強く、解約の
   「正当事由」は認められにくいといっていいでしょう。

       弁護士 田 中 宏 幸

 

投稿者: 田中宏幸法律事務所

2018.07.09更新

Q:<建物の建替えの必要性>
  借家の敷地を有効利用するために、建物の建替えの必要性があること
   を理由として、借家契約の解約の「正当事由」が認められるケースがあ
   るでしょうか。


A:いわゆるバブル経済の頃には、このような事案が多くありました。
  特に、大都市の中心部における土地の再開発の要望が社会的に強まって
   きていることを理由に、かなりの立退料の支払を条件に解約の「正当事由」
   が認められたケースがありました。
  例えば、池袋駅の近くの地元商店街と豊島区が協力して街づくりが行わ
   れている中で、借家建物が老朽化していること、賃貸人に自社ビルを建築
   する必要性があるとして、1億6000万円の立退料の支払を条件に「正
   当事由」を認めた裁判例があります。
  また、借家建物の老朽化、新橋駅前という土地の高度利用が望ましい立
   地に借家が立地していること、他の借家人の明渡し交渉が完了しているこ
   と等理由として、3億4000万円の立退料の支払を条件に、解約の「正
   当事由」を認めた裁判例もあります。
  いずれも、賃貸人に再開発の利益があることも考慮して、立退料が高額
   化したものと思われます。
 
  弁護士 田 中 宏 幸

 

投稿者: 田中宏幸法律事務所

2018.06.28更新

Q:前回の「賃貸人が事業のために使用する必要がある場合」について、「
 正当事由」が認められなかった裁判例として、どういう場合がありますか。

A:例えば、賃貸人の店舗拡張の必要性及び家族の居住の必要性がある場合
 でも、賃借人の営業の必要性及び建物の立地場所等が賃借人の営業上死命
 を制する重要な影響があるとして、「正当事由」が否定された裁判例があ
 ります。
  また、スーパーを7店舗経営する賃貸人が、そのうちの1店舗でパンの
 販売をする賃借人に対し、賃借人自らが店舗内でパンの製造販売する必要
 性があるという事案では、賃借人は本件建物なしでは経営が立ち行かない
 ことなどを理由にして、「正当事由」が否定された裁判例があります。
 

   弁護士 田 中 宏 幸

投稿者: 田中宏幸法律事務所

2018.06.19更新

Q:「建物利用の必要性」のうち、「賃貸人が事業のために使用する必要が
   ある場合」について、教えて下さい。


A:この場合は、前回の「賃貸人の住居として使用する必要性の場合」ほど
   ではありませんが、借家契約の解約の「正当事由」として評価されます。
  例えば、賃貸人が六畳一間に家族4人が暮らし、賃貸人自身は左目失明
   のため仕事ができず、頼りとしている長男に牛乳店を開業させる必要があ
   るのに対し、賃借人は専ら倉庫としてのみ使用している場合のケースでは、
  「正当事由」が認められました。
  一般的に、賃貸人の側に、生計を維持するために建物を使用する必要性
   があるという場合には、借家契約の解約の「正当事由」が認められやすい
   と思われます。
  
     弁護士 田 中 宏 幸

投稿者: 田中宏幸法律事務所

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